今回は、「士、別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」という故事成語を解説していきたいと思います。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、私は三国志の中では一番好きな説話です。
読み・意味
「士、別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」は、「し、わかれてみっか、すなわちさらにかつもくしてあいたいすべし」です。
意味は、士大夫というものは別れて三日も経てば、刮目(目を見張って)して会わなければならないほど成長しているものだ、という意味です。
出典
これは「三国志」に出てくる説話です。三国時代の呉に呂蒙(りょもう)という武将がいました。今回はこの呂蒙が主人公です。
呂蒙は呉で活躍している武将でしたが、元々家が貧しく、ろくに勉学をせずに育ちました。
そんなある日、君主の孫権(そんけん)から将軍たるもの武一辺倒ではなく、勉学にも励むべきだとアドバイスをもらいます。
そんな呂蒙は、一念発起して猛勉強します。
月日が流れ、呉の軍師である魯粛(ろしゅく)が呂蒙を訪ねてやって来ます。
二人は色々と語り合います。
そこで、魯粛はふと疑問を抱きます。「呂蒙の奴、巷では“呉下の亜蒙(呉の蒙ちゃん)”と呼ばれているが、今日は学がある話しぶりだ」と。
魯粛つい口走ってしまいます。
「呉下の亜蒙にあらず」
それに対して呂蒙は言い放ちます。
「士、別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」
こんな経緯で、この言葉は発せられました。
努力の大切さを説いた、いい言葉だと私は思っています。
雑記
私は高校時代にこの言葉に出会い、座右の銘にしていました。努力すれば報われるし、継続して努力しなければと思わされました。
ところで、先日読んだ芸人厚切りジェイソン氏の本に、同じように努力することの大切さを示す話がありました。
彼は一日1%でいいから努力を続けようと言っていました。
これを数値化すると日々1.01%ずつ向上していくと考えて、1.01の365乗。計算すると37.8になり、約38倍の能力になると。
逆に1%ずつ後退していくと0.99の365乗として、0.03になると。
日々やることは小さくても、複利の考えを用いると一年後には大化けしているということです。
厚切りジェイソンは変な外国人だと思っていましたが、案外、侮れない存在でした。
まとめ
ここに出てきた「呉下の亜蒙」も一つの故事成語として、昔のままで進歩しない人物という意味があります。変わらないことはリスクだという人もいるくらいです。日々努力して、着実に成長していきたいひとにはぴったりな言葉だと思います。
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